第2回 村岡希美さん(女優・劇団員 46才)

むしろこっちが人生相談したい気持ち満々のコラム、「池谷のぶえの人生相談の館」です。

もう…夏じゃないですか…。
太陽の思い通りになる季節がやってきますよ。
なんでしょう…あの太陽の独り勝ち感。

「あたし! あたしあたしあたし! ねえ! あたし! 暑い!? ねえ! 暑い!? 暑いっしょ!? フーーーーーーーーーーーッ!!!!!!!!!!!」

みてーな。

わかってるよ…あなたがいないことには地球が大変だってことはわかってるよ…感謝してるよ…だからもうそんなにテンション上げないで…そっと見守っていてよ地球を…いや、どうしても地球に光をあてたいなら、池谷だけあてなくてもいいからさ…。

池谷、明るいものといったら、ロウソクの灯りから5mくらい離れた場所で精一杯な今日この頃です。

ここ一年間、がんばって自分をコントロールできるように努力した結果、生きづらさについては昨年より30%ほど削減されたように感じますが(当社比)、やはり時折、「人間が! 自分以外の人間たちが眩しすぎる!!」という感覚に襲われてしまうのです。

つい先日も、久しぶりにこのキラキラ恐怖症が発症。

仕事場など多くの方があつまるところに行く際に、自分以外のみなさんは、身体にも自然にもとってもよさそうなおしゃれソルトを小粋な小瓶に入れて持ち歩いていて、自分だけがとんかつソースを蓋なしで持ち歩いているような感覚です。

ちょっと動いたらこの場を汚してしまう…いや、でも汚したい…でも、汚していいような場所ではない…みたいな。

まあ、そんなことでしょっちゅうウジウジしている私を、何かと救済してくれる村岡希美さんが今回のご相談者です。

「何かと救済されてる人間が相談に乗れる立場か!」(太陽 46億年才)

という太陽からの暑苦しいクレームは受け流して、ご相談内容を。

*****
池谷のぶえ様。

わたしの悩みを聞いてください。

近頃、わたしは、月日の流れるのが早すぎて、とても困っています。

2017年のお正月を迎えてから今日まで(5月初旬)は、一瞬でした。

どんどん過ぎてゆく月日に、わたしの方がおいてゆかれそうで、不安です。

どうしたらいいでしょうか。



それと、もう一つ。

断捨離、が、上手く出来ずに悩んでいます。

思い切って、どんどん捨ててしまうのは、気持ちが良くて好きなのですが、うっかり必要なものまで捨ててしまうのが、悩みです。

それも、捨ててしばらくは気が付かず、いざ、使おう、と思った時に「ない!!」と気づいてとても困るので、こんな自分が嫌になります。



これまで、捨ててしまって困った物たちは、こちらです。



・お箸(なぜか、菜箸はたくさんあったのでそれを使いました)

・フライ返し(なぜか、オタマは2つあったのでそれでひっくり返しました)

・傘(ビニール傘も全て捨ててしまってたのですが、なぜか、日傘は2本あったのでそれを使いました、が、びしょ濡れになりました)

・羽布団(ありったけのジャージを重ね着してしのぎました)

・冬物のコート(慌てて買いにゆきました)

・缶切り(今だにその缶は開いてません)



まだ他にもあったと思うのですが、近頃、「これは覚えておこう」と思ったものも、すぐに忘れてしまうので、それも、悩みのひとつです。が、これは、噂の、老化現象、というものなのでしょうか。



以上が、近頃の私の悩みです。

お答えいただけたら、幸いです。

よろしくお願いいたします。

村岡希美さん(女優・劇団員 46才)

*****

村岡さんからのご相談を目にした瞬間に、いろいろなものを捨ててしまい困っているにもかかわらず、村岡さんにはこう言ってもらいたい…というセリフたちが思い浮かびました。

・お箸(なぜか、菜箸はたくさんあったのでそれを使いました)
「箸がないですって…? この両手は何のためにあると思っているの? 食べるのよ! その両手で! 掴みなさい! 米を!」


・フライ返し(なぜか、オタマは2つあったのでそれでひっくり返しました)
「ハンバーグ…私はあなたを、決してひっくり返さない! 全力でね! ただし、どうしてもひっくり返してほしい時は甘えてきてもいいのよ。私には、2つのオタマがあるわ…」


・傘(ビニール傘も全て捨ててしまってたのですが、なぜか、日傘は2本あったのでそれを使いました、が、びしょ濡れになりました)
「傘をさせですって…? そんなこと言ってはいけないわ。雨だって誰かに抱きしめてもらいたくて降ってるのよ…雨! いらっしゃい!」


・羽布団(ありったけのジャージを重ね着してしのぎました)
「ばかね…よくごらんなさい…羽よ。ふふっ…まだ寝ぼけてるのね」


・冬物のコート(慌てて買いにゆきました)
「寒くなんかないわ。私には、ウォッカと口紅がコート替わりよ」


・缶切り(今だにその缶は開いてません)

「開けてくださる? あら、缶切りなんて使うの? まだまだ坊やね。大人はね、想い出で開けるのよ…」


もう…村岡さんに言わせたいセリフたちですよね。
なんなら、このセリフを言ってもらうために、あえて必要なものまで捨てたのではないか…という気すらしてきます。

こんなふうに、艶っぽくて、慈悲深くいてもらいたいイメージがあるため、ついついキリリとしたところばかりを求めてしまいがちです。

私も、村岡さんとの演劇ユニット「酒とつまみ」をやる前までは、そうした印象が強かったように思います。

しかし実際、あれやこれやを互いに経た後の村岡さんの印象は、とても繊細で優しく、かつ、大胆ないい加減さを持ち合わせてる面白さを感じます。

つい先日も、村岡さんがお芝居を観に来てくれた後の飲みの席で、「のぶえちゃんのあの場面がとっても良かった…ほら、あの場面」と言ってくれたので、「あの場面ですか?」「もっとこういう感じだった」、「この場面ですか?」「いや、こんな感じ」、「じゃああの場面だ!」「違うかもしれない」、「もうこの場面しかないですよ」「違う」…という、自分が素敵にできたと思われる個所を申請するとすべて違うと言われる…という公開処刑を経験しました。

いままでの私の演劇への背景も理解したうえで褒めてくれようとした「繊細で優しい」村岡さん、その場面をまったく覚えていない「大胆ないい加減さ」の村岡さん…今回ご相談いただいた、断捨離の結果も、大胆ないい加減さ方面の村岡さんらしさが大活躍した結果なのかもしれません。

断捨離をすると、本当に必要なものが入ってくるといいます。
断捨離をしたことで、繊細で優しい村岡さんが大活躍できる、花ちゃん(ワンちゃん)という伴侶が入ってきたのだと思います。

これからもいろんな村岡さんが見られると思いますが、村岡さんが言うように、我々も1年が3ヶ月くらいに感じる年齢になってまいりました。

村岡さんが花ちゃんと暮らすようになってから2年半くらいでしょうか。
ワンちゃんにとっての2年半は、人間の年齢に換算すると20代半ばくらいまでの年月のようですね。

花ちゃんにとっては村岡さんと暮らすようになって既に20年ちょっと、ぎゅーっと幸せな日々なのかと空想計算すると、ワンちゃん時間で生活してゆくのもよいですね。

ちなみに、ワンちゃん時間ですと、人間の1年はワンちゃんの17年です。
お正月! と思ったらすぐ、セブンチーンのお正月なわけです。
こうなったら、もういくつ寝ることなく、いつだってお正月です。
餅をついたら、食べるひまなく、また餅をつく…そんな人生です。

毎日餅をつくなんて…そんな高いテンションには絶対についていけなくなるであろう池谷を、どうかこれからも救済お願いいたします。

ラッキー待ち受け
写真1

実は、私も12年の春に大規模な断捨離で自宅を大改造し、その夏に「やろう!」と思い立ったのが「酒とつまみ」でした。大きな断捨離には、大きなものが入ってきますね。ユニット名を決める際に考えていった個人メモです。
結果2人で話し合い、「酒とつまみ」という名前になりました…あぶねえ。やはり人間、自分以外の視点というのは大切ですね。
キラキラ恐怖症を克服し、ちゃんと人間と向き合えるようがんばります。

■村岡希美さんの今後の予定
イキウメ「天の敵」
5月16日(火)~6月4日(日)
東京芸術劇場シアターイースト
6月9日(金)~6月11日(日)
ABCホール

「鳥の名前」
7月22日(土)〜8月13日(日) 
ザ・スズナリ
【筆者プロフィール】
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池谷のぶえ
いけたにのぶえ94年より04年の解散まで劇団「猫ニャー」の劇団員として活動。解散後は、ケラリーノ・サンドロヴィッチ作品、NODA・MAP、蜷川幸雄演出作品など数多くの舞台に出演。

[出演情報]
【舞台】 
「Little Voice(リトル・ヴォイス)」
(作:ジム・カートライト、演出:日澤雄介)
2017年5月15日(月)~28日(日) 
天王洲 銀河劇場 ほか、地方公演あり

こまつ座 第119回公演「円生と志ん生」
(作:井上ひさし、演出:鵜山仁)
2017年9月8日(金)~24日(日) 
紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA 

【TV】
NTV「残酷な観客達」
2017年5月17日(水) スタート
毎週水曜 24:59~25:29




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第1回 ブルー&スカイさん(劇作家・演出家 43才)

新しくはじまりましたコラム、「池谷のぶえの人生相談の館」です。

はじまったものの…人生相談したいのはむしろ私のほうです。

いったいこの先、私は何年生きていくのですか?
生きていくためにはどれくらいお金が必要なのでしょうか?
いつまで元気に働けるでしょうか?
働けなくなったらどうなるのでしょうか?
持ち家を持っておけばよかったです…。
堅実な職業についておけばよかったです…。
恋愛に本気を出しておけばよかったです…。
大量に昆布を煮ましたが、あまり美味しくないです…。

人生、いつだって迷うことばかりですよね。

私ごときに、人様の人生をあれこれ指南する度量などまるで持ち合わせておりませんが、なんだか人に相談したら、ちょっとばかしすっきりするではないですか。

どうかここを、人生のゴミ箱だと思って、何かを捨てに来ればいい…

…都会の暮らしに疲れて、岬の上にポツンと一軒建つカフェを数年前から始め、いまでは地元の人たちや、人生につかれた旅人たちが立ち寄り、ふと何かを取り戻す場所…

みたいに語りかけてみましたが、そんな度量も持ち合わせちゃおりません。
なにとぞ、本気の相談がある方は、そんな岬のカフェに行くがいいさ!

ということで、記念すべき第一回目のご相談です。

*****

自分は視力が悪いので、芝居を観に行くと、よほど舞台に近い客席に座れない限り出演者の方々の顔がまったく見えず声のみで誰なのかを判断するしかなく、この十年ほどの間ずっと困っています。ただ観劇時以外の日常生活にはそこまで支障がないため眼鏡やコンタクトを買う予定はありません。どうしたら良いでしょうか。
あともう1つ、大学時代から知ってくれている池谷さんなのでお聞きしたいのですが、大学時代から現在43才になるまでの間のどこらへんで僕は人生けっこう失敗してしまったのでしょうか?

ブルー&スカイさん(劇作家・演出家 43才)

*****

よっぽど近くないと顔が見えない…ということは、いままでブルーさんから演出を受けている間も、私たちが誰が誰だか認識されていなかった可能性もあるということですね。
2~3行のセリフに対して、15か所くらいダメ出しをもらっていたのも、もしかしたら私に対するダメ出しではなかったのかもしれない…といま気づきました。

一緒にお芝居をするようになってから15年ほど経っても、ブルーさんの演出に対して、初見で正解を出せたことがない…というか、楽日でも正解を出せたことがない…そうした劣等感を感じながらいままで生きてきました。

それもすべて、私が正解を出せていたかもしれないのにただ見えてなかったのだとしたら…いままでの私の人生どうしてくれるんですか。

池谷のぶえ(女優 45才)

さらに、「大学時代から現在43才になるまでの間のどこらへんで僕は人生けっこう失敗してしまったのでしょうか?」ということですが、ブルーさんに出会い、ナンセンスという世界に足を踏み入れたことで、私のスマホのメモ帳には

・壁中に味噌
・部屋の四つ角という四つ角にせんとくん
・天井から世界中のメガネがぶら下がっている
・ソファーにふりかけをかけてみる
・一口ずつかじってあるウインナーが36本
・部屋中にキャベツの千切り
・お手拭きの胡麻和え
・煮干しの家族
・肉団子サッカー
・タコとイカが7:3の割合で部屋にぎっしり
・ドンペリのグラスに煮干しを一匹ずつ
・店に馬が繋がれていて、店はどこまでも進んで行く
・ピアノの鍵盤をご飯と海苔にする
・真珠のごとき光を放つ紙袋
・家出貴族
・ひまわりの真ん中に何をいれるか?
・シースルー刑事
・ウォシュレットと戦って、何もかも負ける
・股を開いたら閉じる…それだけを信じてる

こういったメモばかりが記されています。
これが、女優45才のメモでしょうか?

女優45才といえば、思い浮かぶのは藤原紀香さんです。

藤原紀香さんが、果たしてこのようなメモをするでしょうか。
想像するに、世界のこと、社会のこと、結婚生活のこと、健康のこと、美のこと…そうしたことでしょう。

そういった意味でも、大学時代にブルーさんに出会ったことで、私の人生も失敗しました。
安心してください。ブルーさんひとりではありません。

演劇を観る際に、眼鏡やコンタクトを作ろうと思わないのも、それほどまでして観たいものでもないからだと思います。きっと本当に観たいものは、人は観ようとするでしょう。

それ以前にブルーさんは、どっかから何かを感知して拾って来ては、独特な脳経路を通して、奇跡的なものを産みだすという特殊能力をお持ちです。

そして、その能力によって、私をはじめ、一部特殊な人たちから尊敬され続けている唯一無二な存在であることを、人生の失敗だとは思わずに。

きっと、そうしたことが見えずらいのも、視界がぼやけているからだと思います。

お金払って、眼鏡かコンタクトを作りなさい。
数千円で、スクール水着とか、女性の裸とかが、よりはっきり見えるようになるよ。

ラッキー待ち受け
今回ご相談にご協力をいただいたブルー&スカイさんには、スマホの待ち受けに最適なラッキー画像をプレゼント。
もし人生の岐路があったとしたら、確実にこの頃だったのでしょう。次の岐路には早々に気づきますように。
01_jinsei

■ブルー&スカイさんの今後の予定
フロム・ニューヨーク「そろそろセカンドバッグ」
5月31日(水)~6月4日(日)
下北沢OFFOFFシアター


【筆者プロフィール】
pro_iketani 

池谷のぶえ
いけたにのぶえ94年より04年の解散まで劇団「猫ニャー」の劇団員として活動。解散後は、ケラリーノ・サンドロヴィッチ作品、NODA・MAP、蜷川幸雄演出作品など数多くの舞台に出演。

[出演情報]
【舞台】 
「Little Voice(リトル・ヴォイス)」(作:ジム・カートライト、演出:日澤雄介)
2017年5月15日(月)~28日(日) 天王洲 銀河劇場 ほか、地方公演あり





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