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第10回 尾上寛之さん(俳優)

むしろこっちが人生相談したい気持ち満々のコラム、「池谷のぶえの人生相談の館」です。

年が明けましたね。
年、明けすぎじゃないですか? 短いスパンで。

12ヶ月の間、絶対3~4ヶ月はすっとばして時が経ってますよね。
どうにも、地球のやり方が信じられないんですよ。
ぜったい自転、早くしてんじゃないかしらね。
みんな、地球を信じすぎだと思うの。

お正月恒例の箱根駅伝とかも、ゴールしたらすぐ走り始めても、ちょうど来年のお正月にゴールするくらいになると思うの…ってくらい、時が経つのが早すぎる!!

きっと、このコラムを書き終わる頃には夏ですよ…なんなのさ、地球!
もっと、誠意を見せてよ! 地球!

さて、理解できない時の速さは全部地球のせいにして、今年もあっという間の一年を生きていこうではありませんか。

といいながらさっそく年末の話に遡りますが、母親から郵便局やら銀行やらの手続きをしに来なさいと命令を受け、渋々と行ってまいりました。

母も今年75歳。きっと今後のことなどいろいろ考えて、少しずつ手を放して行こうということなのでしょうけど、そうした現実をなるべく考えないように日々過ごしているので、改めてきちんと対峙することになるとなんだかとても胸がきゅぅぅぅぅ…として寂しいですね。

舞台のお稽古や本番をやっている期間は、現実のあれこれは後回しにしてもいいような気もしているのですが、そのような夢の時間が終わると、ただただ現実です。

年末などは、まだまだ夢の時間にいようと、9つの忘年会を渡り歩いてみましたが、もうすっかりお正月も終わり、やはり、ただただ現実です。

今年は、舞台も少なめですし、現実と向き合う年なのでしょうかね。

ということで、今年一発目の現実的なご相談を。

*****

新年明けましておめでとうございます。

昨年『24番地の桜の園』では大変お世話になりました。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

新年早々ではございますが人生相談、何卒よろしくお願い致します。



家の鍵の閉め忘れがとても気になります。

鍵をかけて駅に向かって歩いている最中「あれ、鍵閉めたかな・・・うん、閉めた・・・本当に?・・・戻ろう」と確認しに帰ってしまいます。そして閉まっているのを確認して「閉まってる!忘れるな。」と心の中で強く思うのですが、また歩いている最中「あれ、閉めたかな?」と不安になります。

一度地方に向かう新幹線の中で不安になり、友達に見に行ってもらった事もあります。

どうしたらこの不安はなくなるのでしょう。よろしくお願いいたします。



ジグソーパズルが好きでたまに買ってはやり始めるのですが、途中で止めるのがとても難しいです。

どこまでやればきりがいいのか全然わからないのです。

例えば建物一つ完成すれば止めようと思っても、その建物の端っこに別の建物が出てきたりするのです!!

そうなるとそれを完成させずにはいられません。

少しずつ楽しむはずのジグソーパズル「今日は建物一つ出来た!明日も楽しもー♪」ではなく、「完成させなければ、、、完成させなければー!!!」と燃えてきてしまいます。もう彼らに釘付けで他の事が手につきません。

掃除もそうです。今日はこの場所だけ!と決めてやり始めたのに途中から違う所が気になって、また他の所が気になって・・・と1日が終わってしまいます。

煮込み料理もそうじゃないですか?もっと美味しくなれもっと美味しくなれと。

すみません、話しにもきりがなくなってしまいました。

どうかいい『きり』を教えてください。よろしくお願いいたします。

尾上寛之さん(俳優)



*****


尾上くんとは、年末の舞台「24番地の桜の園」で初めてご一緒させていただきました。

なので、まだ知り合って数ヶ月の間柄であります。
当然、尾上くんがどんな人物なのか、ひとかけらくらいしか知らないはずなのです…が、お芝居のお稽古や本番というものは、ほんとうに怖いくらいその人らしさが滲み出るもので。

今回のご相談を目にした時に、なんてイメージにぴったりなご相談なんでしょう…と思ってしまいました。

二つのご相談でもそうですが、お稽古場や本番の尾上くんもとても熱心に物事を考え、出来ていても心配し、念には念を入れて挑んでいたように思います。

そうか…それもこれも、鍵やジグソーパズルと繋がっていたのか…と思うとなんとも感慨深い。何の感慨だかわかりませんが。

まずは鍵についてですが、鍵をかけた後、心の中だけで「よし、閉めたぞ!」と確認するだけでは、人はすぐわからなくなってしまうのだそうです。
なので、鉄道職員さんのように「鍵、よーし!」と、指差し確認することが大切らしいですが、さらにそれも鍵に向かってではなく、2mくらい先にいる誰かを想定して声をかけると、さらに記憶に残るらしいですよ。

もう、鍵のエチュードですよ。
お芝居をやっていてよかったですね。すぐできるわよね?
ただ、周りにどれだけの視線があるか、恥じらいとの闘いではありますが。

しかし、人間は言葉の記憶よりも、映像の記憶の方がより残りやすいとのことなので、もうその毎日微妙に違う鍵エチュードを、動画で撮ったらいいのよ。
今後、映像のお仕事とかで、鍵をかけるシーンがあった時、あらゆるバリエーションの鍵のかけ方ができるようになっているという、「尾上に鍵をかけさせたら、右に出る者がいない」的なレジェンドになれるわよ。

それでもダメだというのならば、もう、初めは敢えて鍵をかけない。
そして「ああ…鍵をかけてこなかった…ああ…どうしよう」と、そのザワザワ感に浸ってから、おもむろに踵を返し鍵をかけに戻る。
先に心をザワザワさせておく作戦よ。
ちょっとした変態プレイでもあるから、あまり手を出さないほうがいいとは思うわよ。

それでも、それでもダメならば、私、素晴らしい案をひらめきました。
鍵をかけ終えた瞬間から、顔をぼっこぼこに叩きながらしばらく歩くのです。
痛かったら鍵をかけた証。
これ、絶対、安心して出かけられるでしょう?
安全には出かけられないけれどもさ。

でも、鍵をかけ忘れたって大丈夫よ。
本当に盗まれたくない大切なものは、ちゃんと尾上くんの中だけにあるでしょう…?

はい。一年分のいい言葉を結集したから、もう2018年分のいい言葉は残っちゃいませんよ。
ということで、「きり」についてはやさぐれて回答しますよ。


まず、建物の絵柄じゃないパズル買いな!
ぼんやりした…海しかないみたいな!

はい。こんな回答じゃ、さすがにやさぐれすぎているので補足しますが、尾上くんが「きり」を気にしていてよかったです。

なんとなく、きっちりと結果を知りたいタイプなのかしら? と思っていたので。

最後までいかなくてもいいことも、たくさんあると思うのよ。
最後までいってしまうと、楽しくなくなってしまうこともあると思うのよ。
答えは最後だけじゃなく、途中にもたくさんあると思うのよ。

「きり」というのは、途中の最後を決めてしまうことだと思うのね。
だから、「きり」なんかはつけなくていいと思う。
「やらなきゃいけない」ところまで進むんじゃなくて、自分の気持ちいいところまで進んでそこでやめればいいと思います。

ジグソーパズルを完成させて気持ちいいのなら、いろんなところを掃除したくなるのなら、煮物を美味しくなるまで煮たくなるのなら、そこが尾上くんの「きり」なのよ。

ただしそれが、「ぎむ」であっては、豊かな時間ではなくなってしまうと思います。
きっといまは「ぎむ」に近くて、止められないんだね。

尾上くんは、少しくらい自分に無責任になってもぜんぜんよいと思います。
たった数ヶ月の、私の勝手な観察でしかないけれど。

今年はぜひ、とりあえず春頃までに一回、鍵を開けたまま30分くらい買い物に出かけて帰って来てみて下さい。

何かきっと変わるわよ。
泥棒が入るとか。やりかけのジグソーパズルもバラバラにされてるとか。
おめでとう! 新しい尾上くん!


ラッキー待ち受け
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「ガラスの仮面展」へ一人で行って、月影先生の顔はめパネルの写真をどうしても撮りたくて、係の人にお願いして撮ってもらった一枚です。
友人と行ったのなら、もっとちょけた写真も撮れたのでしょうが、写真をお願いするのにも勇気がいりました。ちょけれませんでした。
でも、ちょけてこそでしたね。私も今年はちょけれるように頑張りますので、尾上くんもがんばって泥棒に入られてください。

■尾上寛之さんの今後の予定
出演情報
フジテレビTWO「ザ・ブラックカンパニー」2月より放送

新国立劇場開場20周年記念公演
「赤道の下のマクベス」
作・演出: 鄭義信
2018年3/6~25 新国立劇場 小劇場
2018年4/11 穂の国とよはし芸術劇場
2018年4/5~6 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
2018年4/15 北九州芸術劇場 中劇場


【筆者プロフィール】
pro_iketani 

池谷のぶえ
いけたにのぶえ94年より04年の解散まで劇団「猫ニャー」の劇団員として活動。解散後は、ケラリーノ・サンドロヴィッチ作品、NODA・MAP、蜷川幸雄演出作品など数多くの舞台に出演。

[出演情報]
【テレビドラマ】 
2018年1月26日(金)スタート
毎週金曜23:15~
テレビ朝日 金曜ナイトドラマ「ホリデイラブ」



えんぶ9号ラインナップ


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第9回 佐藤真弓さん(女優)

むしろこっちが人生相談したい気持ち満々のコラム、「池谷のぶえの人生相談の館」です。

NODA・MAP「足跡姫 時代錯誤冬幽霊」、ホリプロ「Little Voice」、こまつ座「円生と志ん生」、シアターコクーン・オンレパートリー2017「24番地の桜の園」。

演出では、野田秀樹さんとは13年ぶりくらいでしたし、日澤雄介さん、鵜山仁さん、串田和美さんとは、初めてのご一緒でした。
こんなにも、初めての演出家さんだらけの年は初めてです。
終わってみれば、みなさんそれぞれに刺激的で、それぞれに演劇を愛し、それぞれに毒のスパイスと優しさのある演出家さんでした。

初めてご一緒した出演者の方々も、ざっと数えてみたら40数人。
さらにスタッフさんや、映像関係のお仕事などを入れたら軽く100人は超えているのでしょうね。出会いだらけです。

よく、なかなか恋愛できない方たちのインタビューで、
「出会いがなかなかなくて…」
という回答がありますが、声を大にして言いたい。
「出会いだらけだって、できないものはできないのよーーーーー!!!!」

むしろ、出会いがない方がよっぽど言い訳になります。
あれだけ出会っといて何してたのよ!! という気持ちになりますよね。
まあ、出会うために仕事をしているわけではなくて、仕事をしてたら出会うことになるのですけれども…。

来年も、いったいどれだけの新しい方々に出合えるのでしょうか。
楽しみでもあり、寂しくもあり。
なんたって、このお仕事、一つの作品が終わるとすぐサヨナラですものね。
作っては消え、出会っては去り…の繰り返し。

せめて、辛い出会いや、辛いサヨナラがなるべくありませんように。

さて、今回のご相談は、とーってもチャーミングな先輩からです。

*****

のぶえちゃん、こんにちは。どうぞよろしくお願いします。



お米を筆頭に炭水化物が我慢できません。

いろんな数値が気になる年頃ですので、夜遅くには控えよう、少し軽めしようなどと思うのですが、いざ白いごはんを目の前にするとフラフラとお茶碗一杯によそってしまいます。20時以降白米は我慢(この時点で結構甘い)、というルールを作ったところで、「みんなで食べる時は良い事にする」、「ふるさとのおにぎりはOK」。などと簡単に覆すルールを作ってしまうのです。自分の意思の弱さにほとほと呆れます。助けてください。



あと、もうひとつ、夢占いみたいな相談で恐縮です。

身長を172センチにしてあげるよ、といわれたらどうするべきでしょうか?

今150センチぴったりです。中途半端にあと1、2センチ伸びるのだったら今のままで良いと思っているのですが、172センチとなると話は別です。そうなった時の想像も3か月に一度くらいはします。満員電車で頭や肩に肘を置かれて休憩されることもなくなるでしょう。何がしかのギフトか、または科学の飛躍的な進歩でそんな日が来ないとも限りません。慣れ親しんだ150か老後を172で生きるのか。万が一のその日にあたふたしないようにアドバイスをいただきたいのです。

佐藤真弓さん(女優)

*****

もう、このご相談を目にした、真弓さんの知り合いの方々でしたら、先ほどの私の魂の叫び、

「出会いだらけだって、できないものはできないのよーーーーー!!!!」

と同じくらいの圧と音量でこう叫ぶでしょう。

「真弓さんは、そのままでいてーーーーー!!!!」

つまりは、炭水化物をあまり制限してほしくないですし、身長もいまの身長でいてほしいのです。それが、真弓さんの素敵さなのですもの!

いやしかし、これはあくまで我々外部からの真弓さんへの願望であって、ご本人の気持ちではありませんものね。
なるべく真弓さんが今後もご飯を食べたくなるように、なるべく真弓さんが今後も高身長に憧れないように、こっそり仕向けていけたらと思います。
これを読んでいるみなさんも、ご協力お願いいたします。
「※」このマークを出したら、「そうだ!そうだ!」と言ってくださいね。

つい最近聞いたのは、食べ物を一口食べるごとに「年齢の数だけ咀嚼する」必要があるそうです。我々だったら一口たべるごとに40ウン回咀嚼しなければいけません。少しの期間やってみましたが、無理でした。
真弓さんも、どうしてもお米を食べたくなってしまったとき、とりあえず年齢の数だけ咀嚼法を試してみてください。
でもきっと、無理です…。

「青色は、食欲を減退させる」らしいですね。
いますぐ、青いサングラスを購入してください。
お米やパンを見つけたら、すぐさまそれを掛けるのです。
でもきっと、外して食べちゃうと思います。

「冷めたお米を食べる」
お米は、冷めることで「レジスタントスターチ」という成分が発生し、食物繊維と同様の働きをするのですが、胃や小腸で消化されないため、でんぷんなのにエネルギーになりにくい特性を持っているそうです。
温かいお米ではなく、冷めたお米を食べるようにしてください。
でもきっと、すぐチンしちゃうと思います。

いっそのこと、お米を職業に取り入れてみてはいかがでしょうか。
お米マイスター、お米アドバイザー、お米ソムリエ、ごはんソムリエ
、米・食味鑑定士、ごはん検定~めしけん~
などの資格があるようです。
でもきっと、勉強している間にお腹が空いて、お米をたべちゃうと思います。

もうきっと、お米と真弓さんの間には、何度も輪廻転生する間に何かしらの縁があるのでしょう。もしかしたら、身体の見つけにくい場所に「※」印の痣があるかもしれませんよ。

※の合図で「そうだ!そうだ!」言ってくれたみなさま、ありがとうございました。
身長に関するご相談にまいります。引き続き、よろしくお願いいたします。


平均身長が高い国ランキング1位は、オランダだそうです。
女性は、平均身長171cmほどとか。真弓さんが想いを馳せる身長に近いですね。

実は約200年前までは、オランダはヨーロッパの中では身長が低い国だったそうです。その後、現在に至るまでの急激な身長の伸びは世界各国と比べても類がなく、オランダだけ。その理由は、

・酪農国なので乳製品(牛乳やチーズ)を多く摂取しているため。
・日射量の少ない寒い地域に住む民族のほうが体が大きくなると言われているため。

などの説があるようです。
真弓さん、至急、寒く暗い場所で牛乳を飲み、チーズを食べるのです!
そしたら170cm前後が体験できます!

しかし、約200年かかります。
安心してください。200年生きない限り172cmになることはないでしょう。

我々も、あと数十年すれば立派なおばあちゃんになってまいります。なんなら、その足音もヒタヒタと聞こえてきてはおります。

もうおばあちゃんに向かうしかないこの先、いかに素敵なおばあちゃんになるか…ということが大事です。

真弓さんは、現段階でかなりかわいいおばあちゃんになりそうな素質が満載です。そのためには、いまの真弓さんのビジュアルも大きな要素です。
どうか、真弓さんは150cmの方を選択してください。

150cmの真弓さんが縁側にちょこんと座り、お茶でも飲んでいようものなら、近所の人たちがやたらとおにぎりやら、お菓子やらを持ってくるでしょう。
真弓さんが、美味しいものを美味しそうに食べてくれることで、周りの人を幸せな気持ちにしてくれるのです。
※※※※※

微妙な才能ですが、15年くらい先の地味な社会の進歩をひっそりと当てる能力を持ち合わせています。
小学生の頃、「21世紀を描く」という図工の課題で、同級生たちが空中歩行や、宇宙旅行などの壮大な未来を描いていた時、自動販売機でなんでも買えるようになる地味な絵を描いて通信簿を下げた実績があります。
実際いま、自販機でなんでも買えるではないですか!
あてにならん通信簿め!

だから、大丈夫。
満員電車で休憩されてしまう件については、今後の超高齢化社会、いつか高齢専用車両なるものができるのではないかと予測します。真弓さんが休憩場所になるようなことはありません。

真弓さんがかわいらしいおばあちゃんになる頃、私もおばあちゃんです。
そうなっても、一緒に美味しいものが食べられてたらいいですね。


ラッキー待ち受け
池谷コラム
ご相談内に出てきました、演劇人御用達のお店、下北沢「ふるさと」の名物おにぎり。売り切れてしまっては困るので、早い時点で注文しておくのがセオリーです。出来立てのあつあつ感、なんとも言えない塩気、ふんわりしながらくずれない握り感、何の具が入っているかわからないドキドキ感、添えられてるきゅうりの漬物のナイスアシスト…すばらしいポテンシャルのおにぎり。そしてそれを掲げる真弓さんの画像が見つかりました。
美味しいごはんに出合えるラッキー待ち受けです。

■佐藤真弓さんの今後の予定
青蛾館
男装音楽劇「宝島」
作:寺山修司
振付・構成・演出:スズキ拓朗
2018年2/3~11
東京芸術劇場シアターウエスト

猫のホテル
「秘境温泉名優ストリップ」
作・演出:千葉雅子
2018年4/3~11
こまばアゴラ劇場


【筆者プロフィール】
pro_iketani 

池谷のぶえ
いけたにのぶえ94年より04年の解散まで劇団「猫ニャー」の劇団員として活動。解散後は、ケラリーノ・サンドロヴィッチ作品、NODA・MAP、蜷川幸雄演出作品など数多くの舞台に出演。

[出演情報]
【映画】 
「DESTINY 鎌倉ものがたり」(監督・脚本・VFX:山崎貴)絶賛公開中!




『えんぶ8号』

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nikkan engeki

第8回 八嶋智人さん(俳優)

むしろこっちが人生相談したい気持ち満々のコラム、「池谷のぶえの人生相談の館」です。

今年最後の舞台、「24番地の桜の園」が開幕しました。
今年は舞台を4本…駆け抜けましたなぁ…。
来年は舞台を2本…半分じゃないっすか…。
どうしてこう、お仕事というものは平均的に穏やかにやってこないものなのでしょうね。

嵐のようにズザザーッとやってくるときもあれば、凪のようにピタリと何もこなかったりもする。

いや…考えてみれば、人生なんて平均的に穏やかな時などめったにありゃしないですね。平均的に翻弄されているものです。

現在公演中の「24番地の桜の園」も、自分にとってはまたまた出会ったことのない新鮮な現場であります。

演出の串田さんとご一緒させていただくのも初めてですし、ここはひとつ、いままで自分の国(自分の芝居)で使っていた通貨(やり方)は持たないで、新しい国に無一文で飛び込んでみよう! という志でお稽古をはじめたものの、「自分」というものはどこまでもくっついて来るものですね。

せっかく自国の通貨は持ってこなくとも、照れや、恥じらいや、かっこつけや、合理的な考え方や、自尊心やらの、無駄な装飾品はつい手放せず持ってきてしまう。やっかいであります。

そんな中、この方は、自国の通貨も、装飾品も持たず、なんなら全裸で世界中を旅できるのではないか? という偉大な先輩からのご相談です。

*****



①僕はどうしてもふざけてしまうのですが、どうしたらいでしょうか?

②僕は池谷のぶえさんのファンで、初めての舞台共演なのに、からみがなくてガッカリしています。この胸のモヤモヤをどうしたら良いですか?

③で、リアルな相談ですが、街にいると見る人見る人、知り合いかなと思ってしまいます。そのせいで、よく店員さんに「あれ? 初めましてじゃないですよね?」と声をかけ、けげんな顔をされます。僕は変でしょうか?

④僕は、落ち着きないですか?

八嶋智人さん(俳優)

*****

八嶋さんとのはっきりした出会いは覚えていないのです。
小劇場界の交流の中でふわ~っと出会って、いつのまにかふわ~っとお世話になりまくっていますね。

でも、20年近くふわ~っと交流してきたのに、いままで一度もきちんと共演できたことがなかったのですよね。

③で、リアルな相談ですが、街にいると見る人見る人、知り合いかなと思ってしまいます。そのせいで、よく店員さんに「あれ? 初めましてじゃないですよね?」と声をかけ、けげんな顔をされます。僕は変でしょうか?

よく人間には、何度も輪廻転生してきた人と、まだ数回しか転生していない人や、初めて生まれてきた人がいる…とか言うではないですか?
それに倣うならば、八嶋さんはあきらかにいま地球上にいるだいたいの
人々とどこかの人生で出会ってるくらい、何度も転生を繰り返しているのではないでしょうか。

もうきっと、八嶋さんの中ではみんな本当に知り合いなんだと思います。
初めて出会った人の家に行ったとしても、ササッとカギを開け、そこの住人がいつも置いているカギ置き場にジャラッとカギを置いて、そこの住人がいつも座っているであろう席の一番近くにストンと座ることができる…そんな能力が、八嶋さんにはあるのだと思います。

すぐにでも立派な大泥棒になれそうだな…とも思いますし、なんなら私が勝手に思い描く八嶋さんの性質はルパン三世に似てますね。
そう考えると、カムカムミニキーナの松村さんが銭形警部に思えてきました。そうなると、不二子ちゃんは奥様でしょうか。

①僕はどうしてもふざけてしまうのですが、どうしたらよいでしょうか?

そして八嶋さんには、不二子ちゃんに襲い掛かる時のルパンのように、パンツをスパーンと脱ぐのが上手なイメージがあります。

稽古中、いろんなことに興味を示し乗っかっていく八嶋さんに「どうしてそんなにいろいろなことに興味がわくのですか?」と尋ねると、「その時鳴った音や、声や、出来事や、そうしたことにとにかく身体が反応してしまうのだ」と言っていましたね。

私は生きづらい人間なもので、生きやすくなるためのわりといろんな手段をためしてきましたが、よく出会うのは「過去でも未来でもなく、その瞬間を生きろ」的な言葉です。

八嶋さんはまさしくそう生きているのですね。
そして、八嶋さんはふざけてしまったな~と思ったことでも、周りにとっては救いになっていることもたくさんたくさんあると思います。

④僕は、落ち着きないですか?

地球上のあらゆることに身体が反応してしまうのですから、そりゃ落ち着く方がおかしいです。

今回、稽古場でも席が近かったので、出会って以来初めてじっくり八嶋さんを観察することができましたが、常に何かをするか、何かしゃべっていましたね。
大堀さんに「ちょっとは考え事とかしたら!?」と言われて、2秒くらいだけ考え事をしていた姿を見て、これはもう素晴らしい落ち着きのなさだ! と確信しました。

けれども、いざ八嶋さんが中心となって何かを動かす…という場面になると、誰よりも落ち着くのはなぜでしょうか。

「にんじんだ! にんじんだ! わーい!」と飛び跳ねていたウサギのようだった状態から急に、崖に立つ一匹の虎のように霧をまとい、まわりとの温度を数℃下げる体勢に入る。そして、チェスのように的確に駒を進める。

もう、ほら、ルパン三世ですよ。
もう、ほら、八パン三世ですよ。

②僕は池谷のぶえさんのファンで、初めての舞台共演なのに、からみがなくてガッカリしています。この胸のモヤモヤをどうしたら良いですか?

ほんと、初めての舞台共演ですね。
そして、殆どからみがありませんね。

しかし絡みはないものの、お稽古場でも近くの席で、こんなにもがっつりと同じ時間を共有しているのは初めてで、いままで私が勝手に八嶋さんに抱いていたイメージとは違うものもたくさん見えてきて新鮮です。

なんだか、八嶋さんにはいつも頼っていいような気がしてしまっていて、何かと寄りかかってしまってきましたが、いざ八嶋さんが困った時や癒されたい時や楽しみたい時などに、何一つ力になれない自分の非力さを実感しています。

幸い、今の現場では癒しになる方も何人かいるようですし、先日は八嶋さんと丁々発止に渡り合える小池の栄子ちゃんも観劇に来てくれ、それはそれは楽しそうな八嶋さんを見ることができて、本当によかったです。

私はすぐに地蔵のように外界をシャットアウトしてしまい、何も力になれず、自分のことに精一杯な人間で、本当にすみません。

もし転生して、もう一度役者人生を歩くとしたら、生まれ変わってみたい人生は、女性だったら木野花さん、男性だったら八嶋さんなのです。

どんな景色が見えるのでしょう。
きっと、地蔵の私には思いもよらない景色が見えているような気がするので、憧れてしまうのです。

現在やっている舞台「24番地の桜の園」の構成に似せて、ご相談をシャッフルしてお答えさせていただきました。

いいえ、答えというより、八嶋さんと出会ってから今日までの、記憶と懺悔です。

ラッキー待ち受け
Attachment-1

八嶋さんからいただいた、金箔名刺。金沢の金箔職人さんからいただいたそうです。スマホケースに入れておいたら、お稽古運があがりました。なんだ、お稽古運って。人生相談の館始まっていらいの、本当に待ち受けらしい待ち受け画面です。

■八嶋智人さんの今後の予定
シアターコクーン・オンレパートリー2017「24番地の桜の園」
作:アントン・チェーホフ
翻訳・脚色:木内宏昌
演出・脚色・美術:串田和美
11/9~28@Bunkamuraシアターコクーン
他、松本公演、大阪公演あり

カムカムミニキーナ2018年春公演@座・高円寺1

BS朝日『百年名家』

NHK『チョイス』

テレビ新広島『そ~だったのかンパニー』

テレビ愛知『極上ライフ 大人の秘密基地』


【筆者プロフィール】
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池谷のぶえ
いけたにのぶえ94年より04年の解散まで劇団「猫ニャー」の劇団員として活動。解散後は、ケラリーノ・サンドロヴィッチ作品、NODA・MAP、蜷川幸雄演出作品など数多くの舞台に出演。

[出演情報]
【舞台】 
シアターコクーン・オンレパートリー2017「24番地の桜の園」
(作:アントン・チェーホフ、翻訳・脚色:木内宏昌、演出・脚色・美術:串田和美)
11月9日(木)~28日(火)  Bunkamuraシアターコクーン 
12月2日(土)~3日(日)  まつもと市民芸術館
12月8日(金)~10日(日)  森ノ宮ピロティホール




『えんぶ8号』

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日刊☆えんぶラインナップ

池谷のぶえの人生相談の館

松崎ひとみサムナツ活動日記

一十口裏の妄想危機一髪

粟根まことのエッセイ「未確認ヒコー舞台:UFB」

松永玲子のエッセイ「今夜もネットショッピング」

ノゾエ征爾のフォトエッセー「桜の島の野添酒店」

植本潤(花組芝居)vs坂口真人(演劇ぶっく編集長)対談「『過剰な人々』を巡る♂いささかな☀冒険」

ふれあい動物電気

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小野寺ずるのお散歩エロジェニック

池谷のぶえの国語算数理科社会。

南信州・駒ヶ根だよりby劇団サムライナッツ

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