むしろこっちが人生相談したい気持ち満々のコラム、「池谷のぶえの人生相談の館」です。

ジョンソン&ジャクソン「ニューレッスン」、無事閉幕いたしました。
ご来場いただいたみなさま、お気にかけていただいたみなさま、当日券にお並びいただいたのにご入場できなかったみなさま、大雨の中ご来場いただいた関西方面のみなさま、そして、交通機関の関係でご来場できなかったみなさま、本当にたくさんのご観劇とお気持ちをありがとうございました。

ふざけたお芝居をやっておきながら、最後にはこんなにも感謝の気持ちばかりが押し寄せてくるのが、なんだか変な気持ちです。

しかし、本当におつかれさまでしたね、ジョンソン&ジャクソンのお二人。
5月中旬から丸2ヶ月、受精、出産、育児を経て、作品を独り立ちさせた…みたいなことですものね。言うなれば、人生ではないですか。

その全てがふざけたことのため…というのも、もうこの公演そのものがふざけたことのようにも思えてきますが。

とはいえ、ふざけたことのためのお稽古は、それはそれはしっかりとしたものでした。
みんなで疑問を共有し、解決し、前へ進んで行く…そんな稽古場はあまりないのが現状です。

結果、その丁寧さが客席にも届いたような気がして、舞台作品の作り方の大切な部分というものを、改めて心に刻めた気がしています。

ほら、すぐにちゃんとした気持ちになっちゃうわけよ。

しかし、お稽古が始まる前には、そんな展開考えてもいませんでした。
稽古開始前の取材時には、「みんなで、見たことのない新しい面白さを見つけよう!」みたいな雰囲気でしたので、もし稽古中に「面白さ」について振られた時に、何もストックがなくてはいけない! と思い、普段からメモをしておりました。

・舞台にコンビニがあったら便利
・土俵制度
・0人芝居
・すごい真面目な演技だけど、全部アドリブで進める
・ちゃんとした芝居と、数学界のいろんな計算方法とのコラボ
・湯葉と演劇のコラボ
・舞台上から、風船にタネをつけたり、瓶に手紙を入れて流したりしたい
・他人のパンツは、どこまでが自分のパンツか
・おじさんの咳を集めたテーマパーク
・気づいたら、演者が全員1cm浮いている
・味噌を塗った台本と塗ってない台本では、作品はどう変わるか
・ガラスを割って入りたい
・ひどいシーンになったら、隣で生け花
・舞台にドローンを飛ばす
・自分を2.5次元にしたらどうなるか
・劇団「不安」の公演
・世界中の音を疑う

ええ、何一つ使いませんでした。
こんなふうに、適当なアイデアをメモするなんて馬鹿みたいに簡単ですが、あの二人は、私には考えも及ばない思考回路で今回のような作品を生み出したわけで…本当にすごいなぁ…と心から尊敬します。

そして、せいこうさん。
演出していただくことではご一緒したことがありましたが、こんなにもがっつりと共演させていただくのは初めてでした。
それも、わりと二人きりでの掛け合いのシーンがたくさんありましたね。緊張と嬉しさの行ったり来たりでした。

ジョンソン&ジャクソンのやりたいことを静かに暖かく見守り、困ったり停滞したりした時には、構造の解説でひも解いてくださったり、スッとバイパスもあることを示唆。
せいこうさんがいらしたことで、なんだか安心できました。

そして、茉奈ちゃん。
演劇ぶっく社さんのプロデュースした舞台「レミゼラブ・ル」(作・演出:ブルースカイ)以来の共演でした。10年くらい前ですね。

その後、ナイロン100℃の劇団員となり、こうしてまたご縁あって共演することができました。

今回は、そんな茉奈ちゃんからのご相談。

*****

のぶえさんこんにちは。

ジョンソン&ジャクソンでは大変お世話になりました。のぶえさんのあんな姿やこんな姿を毎日見れることが出来て、大変勉強になり刺激的な毎日でした。楽屋でも私のくだらない話にお付き合いいただきありがとうございました!

今回、その上ご相談まで…。

どうぞよろしくお願いします!



食べ物への執着がすごいです。

特に稽古期間中は油もの、肉、肉、肉。



「百年の秘密」の本番中には人生最高体重になっていました。これはいかん!と思い「ニューレッスン」稽古中に3キロ近く落としたのですが本番に入って、みんなとご飯食べたりしているうちにまた増加しつつあります。舞台上で全速力で走るシーンがあったからなのか、少しヒザに痛みも感じはじめています。



美味しいものを目の前にすると食欲が抑えられません!夏の1日1本アイスがやめられません!!!(冬のアイスも格段に美味しいです)どうしたら食欲が抑えられますか?!



ご回答よろしくお願いします!



*****

どうりで稽古中、やたら酢キャベツを食べているなぁ…と思っていました。
3キロも落としてたのね。

茉奈ちゃんのように、元々ぽっちゃりしているわけでもないのに3キロ落とすのは結構大変よね。

私は、稽古に入って2キロ落ち、全てが終わったいま、ピッタリ元に戻りました。まだ戻りきってない茉奈ちゃんの方が素晴らしいです。

本番中の「自分へのご褒美」という概念をどうにかしないといけないですね。
本番中は、普段食べないものをあえて差し入れからチョイスしてみたり、昼ごはんをワクワクするものにしてしまったり、頻繁に夜中に飲みに行ったり…こう書きだしただけでも、一日3公演ぐらいはやらないとカロリーを消費できるわけがない…なのに、あの期間は魔法にかかってるのよね…カロリーなんて舞台に出ることで全部消費できる気がするのよね…ある意味、気持ちの病気よね…。

私も次回そうしようかと思ってるんだけど、本番中の鏡前に「病気」って貼ろうと思うの。
舞台やってる間なんて、うたかたの病気よね。
終わると、それに気づくんだけど、毎回やってる間は気づかない…それも病気の症状よね。

ただ、今回のような怒涛のナンセンス台詞を覚えている間は、食べるよりも何よりも、台詞を覚えたいことに精一杯でズンズン体重が落ちていったので、とてもいいダイエットだったな…と思うの。

そういうダイエットとして、今回の台本も販売すればいいのに…「この台詞を覚えたら2キロ痩せます」…って私も本の帯を書くよ。

だからやっぱ、痩せる時って何かに集中してる時なのかもしれないね。
痩せようと思って集中したり、痩せようとも思ってないほど何かに集中したり。

多分、食べ物に気持ちが行く時って、そんなに集中することがない時だけど、集中したい時なのかもね。
食べるのって、いろんなことの疑似的な満足感があるもの。

とりあえず、茉奈ちゃんは膝の痛みと、体重の人生最大値を回避すべく、この夏は何かに集中して!

すごく上手だった阿波踊りでもいいし! なんなら、一日中阿波踊りだよ! 移動も阿波踊りだよ! お風呂だって阿波踊りだよ!

そんなことを言っておきながら、茉奈ちゃんが1日1本のアイスで悩んでるところ、私は1本どころではありません。反省します。

私も衝動的にアイスをたくさん食べてしまう癖があるのですが、アイスを止めるにはアイスを買わないことが一番です。
スーパーのアイスコーナーに行っても、「これは鈴木さんのアイス、佐藤さんのアイス、木村さんのアイス、マイケルのアイス、ジェニファーのアイス…」と名前を付けて行って、「池谷のアイスは、この世界には売ってないな…」という、脳内エチュードをしています。
アイスが自分のためにあると思ったら大間違いです。
アイスは、自分以外のみんなのためにあるのよ、茉奈ちゃん。

…そう言い聞かせて、がんばろうね…。

でも茉奈ちゃんの次の舞台の役どころ、「物産展に行くことしか考えてないバイト」って書いてあるね。
役作りのために、物産展行ったほうがいいよ…ふふふ…物産展って美味しいものがたっくさんあるよね…ふふふ…物産展行くことに集中しなよ…ふふふふふ…。


ラッキー待ち受け
FullSizeRender
連日茉奈ちゃんの胸を揉みしだいた、元婚約者の写真です。
なかなか自分以外の胸を触る機会もないので、いや、自分のは揉みしだいちゃいませんが…貴重な体験でした。
上手に揉みしだけてなかったらすみませんでした。
世の男性も、「俺いま、上手に揉みしだけてるかな…」と思いながら、愛する人の胸を揉みしだいているのだとしたら、それはそれでご苦労様です…と思った次第です。
なんだ…この文章。

■小園茉奈さんの今後の予定
明後日公演2018「またここか」
脚本:坂元裕二
演出:豊原功補
日程:9月28日(金)~10月8日(月・祝)
会場:DDD青山クロスシアター

http://asatte.tokyo/matakokoka/

【筆者プロフィール】
pro_iketani 
池谷のぶえ
いけたにのぶえ94年より04年の解散まで劇団「猫ニャー」の劇団員として活動。解散後は、ケラリーノ・サンドロヴィッチ作品、NODA・MAP、蜷川幸雄演出作品など数多くの舞台に出演。

[出演情報]
【映画】
「モリのいる場所」(監督:沖田修一)公開中

【テレビドラマ】 
月~土曜日8:00~放送中

【舞台】
「ゲゲゲの先生へ」(原案:水木しげる、脚本・演出:前川知大)
2018年10月8日(月・祝)~10月21日(日)   
東京芸術劇場 プレイハウス   
松本・大阪・豊橋・宮崎・北九州・新潟公演あり


池谷のぶえ単行本販売中!
kick shop nikkan engeki