むしろこっちが人生相談したい気持ち満々のコラム、「池谷のぶえの人生相談の館」です。

今年も終わりますね。
もう耳にタコができていると思いますが、いや、耳にタコが生えてきたら大変なことですが、イカだって大変です。

大体、耳にできるのは海のタコじゃありませんから、イカの心配をすることもないのですが、それよりまず、耳にタコができるくらい何を言いいたいかということです。

一年って早いね。
この言葉を伝えたかった。

ほら、こんなことばかり書いているから一年がとっとと過ぎちゃうんですよ。
この無駄な数行のための時間を貯めていけばさ、もっと有効な時間ができたかもしれないのにさ、そうしてできた有効な時間も無駄に使うんだけどさ。

さあ、そんな瞬く間に過ぎ去っていった今年はどんな一年だったのでしょう。

なんだか落ち着かない一年だったな。
コラム本が出版されて急に思い立ってイベントやったり、憤る出来事があったり、長い風邪をひいたり、舞台挨拶をしたり、久しぶりにナンセンスの洗礼を浴びたり、足がおかしくなったり、突然治ったり、プライベートでも公演でもいろんなところに行ったり、プティ手術したり…。
あちこちガタが来てるくせに、あちこち出かけた一年だった。

そして一年を締めくくる、プティ手術。
自分の皮下脂肪を採取して、培養し、半月板が損傷した左膝に注入する…というものなのですが、今年はまず皮下脂肪を採取するところまで。

よく、痩身のための脂肪吸引とかあるじゃないですか。
あれの小劇場版といいますか、華々しく吸引するのではなく、膝にちょろっと入れるだけのほんの少しの脂肪を採取するのです。
それだけでも、苦痛…。
局部麻酔をするとはいえ、脂肪をゴリゴリと採取している雰囲気は伝わってくるわけですし、術後数日間はどす黒く腫れて宇宙空間のようです。

もっとたくさんの吸引をしたり、整形をしたり…美のためにたくましく挑んでいる方々もたくさんいると思いますが、私は…無理かも。
どうりで美しくなれないはずです。美しくなろうとする根性がないもの。

しかし、インプラントの土台を作った時も思いましたが、自分の身体を自分の身体に移植する…再生医療というのかな? ばっかね、歳とると。

自分の身体を切り取って、違うところに張り付ける、自分コラージュよ。

コラージュというものは、アートの世界だけかと思っていましたが、生きていくには自分の身体を自分で切り貼りしてコラージュしていくことなのですね。言うなれば、生きていくこと=アートなのですね。

いまに、鼻を切り取って足首につけたり、耳を切り取ってさらに耳につけたり、になるんじゃないかしら…大変ね、生きていくのも。

さて、今年最後を締めくくるご相談は、劇団時代の女子たちからのご相談です。

会う度に、ブスな会話(ひどい会話)ばかりしてしまうので、いつの頃からか、自分たちの会合を「ブスオフ」と称するようになり、日々のひどい話を「スイーツ」と呼び、年に2度ほど集っては、それはそれは生産性のないスイーツを楽しんでいる集団です。

暮れの押し迫った忙しい時期になんですが、そんな、ブスオフメンバーたちからの相談をどうぞ。

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池谷先輩、お疲れ様です。

劇団猫ニャー時代の後輩です。

私のような一介の主婦がこちらで相談させて頂くのは甚だ恐縮ですが、このような機会もなかなか無く、もう失う物もあまり無いので堂々と相談させて頂きます。



普段、家にいる時は大体ノーブラなのですが、宅配が来た時のごまかし方を教えて下さい。ちなみに私は猫背になり、服とボディに隙間を開けて乳頭の形を隠す方法を取っていますが、スタンダードなこの方法も絶対ではありません。
画期的な方法があったら教えて下さい。



あと、夏場になると躊躇なくサングラスをかける人間が多くいます。それでついつい私も買いましたが、かける勇気がありません。

せっかく買ったのでサングラスを克服する方法を教えて下さい。宜しくお願いします。

立本恭子さん(元・演劇弁当猫ニャー)

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宅配には、引き取りの印鑑が必要です。
乳頭を印鑑にしてはいかがでしょうか?
誰一人、同じ乳頭の人はいないと思いますので、十分身分を証明できるはずです。

しかし、さすがに押す瞬間が恥ずかしい…という場合は、印鑑(乳頭)を出す瞬間に物凄い形相をしてください。雄叫びをあげてもいいです。
とにかく印鑑(乳頭)より上部に、宅配員の意識を集中させるのです。

いやでも、そんな物凄い形相や雄叫びなんてできない…女性ですものね、その気持ちもわかります。

よく考えてみてください。
類人猿が二足歩行を始めてから今日に至るまで、約700万年。
その間、女性たちがブラをしている期間なんてせいぜい何百年、日本にいたっては100年もたっていないかもしれません。

ブラなんて、単なる一過性の流行りだと、もっちゃん(立本)から体現していってもらえませんか?

1日目はノーブラで玄関に立つ、2日目はノーブラで玄関を開ける、3日目は玄関から5歩歩いてみる、1週間目はノーブラで近所の人と「こんにちは」と挨拶をする、10日目はノーブラで5歩下がる、半月目はノーブラで駅まで行く、1ヶ月目はノーブラで読者モデルにスカウトされる、半年目はノーブラ専門誌「月間ノーブラ」の表紙に、1年後、女性たちの間でノーブラが流行るはずです。

どうしても恥ずかしかったら、その時こそサングラスをかけてください。


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元劇団員というだけで一般人がお悩み相談に参加させて頂き、恐縮です。
会社の仕事の忙しさに波があります。暇なときは、眠気との勝負です。
しかし、何度か寝てしまいました。寝てるけど仕事してそうな雰囲気に見せることは出来ないでしょうか?

Aさん(元・演劇弁当猫ニャー)

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会社の仕事の忙しさに波があるとのことなので、忙しい時に一切仕事をしないようにしてください。どんなに忙しくても耐えるのです。
おのずと、暇な時に仕事をせざるを得なくなりますので、暇な時がなくなります。
もう寝てなんていられない状況になるでしょう。

しかしそうなると、忙しさに耐えている時が暇な時になるのではないか? という疑問が湧いて来るでしょう。
そうです。どっちにしろ暇な時はなくならないのです。

そこで提案です。
暇になったら、ノーブラになってみてはいかがでしょうか?
乳頭は印鑑です。寝ている間に、契約書類や保証人書類などに勝手に捺印されてしまう可能性があります。
そんな都会のコンクリートジャングルのような状況になれば、もう、寝てしまうこともなくなるでしょう。


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憧れのお悩み相談によんでいただけるなんて、ブスに乾杯です!

改めて全部読みなおしていたら、結構わたし自身のお悩みも解決されて、、のぶえ先輩の日めくりカレンダーが欲しくなりました。


早速、ご相談です!



冬がはじまってしまいました。冬が、寒さが苦手で願わくば冬眠したい。と、思っております。

人間も冬眠した方がいいというような流れはないのでしょうか。

それというのも、冬になると、ドジの頻度が、他の季節に比べて3割増しになる傾向にあります。昨年は一週間のうちに三回財布を落とし(毎回戻ってくる)1ヶ月の間に二度スマートフォンの画面を割りました。

ただ、ドジが増えれば人の優しさに触れる機会も増えるので、感謝の絶えない日々、、とも言えるのですが、頭の中で自分で自分の胸ぐらを掴む率も増えて疲れますし、少し死にたくなります。

平成最後の冬、とにかく、穏やかに、人に迷惑もかけずに、無事に過ごすには、どのような心がけをすればよいでしょうか。

ドジと対岸の位置にいる憧れの池谷先輩へ今更ですが改めてお聞きしたいです。



あと、もうひとつ。うたた寝をしていると、ベルのような音が頭の中で鳴って、起きると、間に合うギリギリの時間で起きれる、というか、起こしてもらえる。。みたいな事がたまにあります。なんとなく、空間にありがとう。。と言って出掛けます。

こういうことってありますか?

以上になります!



よろしくお願いいたします。

和田瑠子さん(女優/元・演劇弁当猫ニャー)

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まず、私が知る限りの和田ちゃんを思い浮かべると、ドジの比率が高いのは冬に限ったことではないと思われます。
通年通して、コンスタントにやらかしている様子を、いつも憧れのまなざしで見ております。

現実的に冬眠は不可能ですので、起きながらにしていかにドジを減らしていくかということになるかと思うのですが、多少減ったところでドジはドジ。ほとんどなくならない限り、ドジを悲観する比率は大して減らないでしょう。

実際、和田ちゃんが物を壊したり、失くしたりする瞬間には立ち会ったことがないですが、「ああ…きっとチャージしてないんだろうな…」とか、「ああ…きっと時間にこないだろうな…」とか、その辺はなんとなく予感が的中することがあります。そして的中するとなんとなく嬉しいので、ほっときます。

時々しか会わない私ですら、なんとなくわかってくるくらいですから、ずっと観察していたら、和田ちゃんのドジのサイクルや方程式がわかるかもしれませんね。

ぜひ、Aさんが仕事中暇になった時や、もっちゃんがノーブラで外出する努力をしている際に、和田ちゃんを尾行し続け、ドジを解明したいところですが、それも現実的ではありません。

人間関係というのは、優しいことをしてあげたら優しいことをしてもらえる、悪いことをした人には悪いことが起こる、ということをつい期待してしまいますし、それをすぐ実感したいものですが、なかなかそういうものでもありません。

ですが、自分が見えている範囲ではそうなっていないだけで、どこかで必ず回収されているのではないかと思っています。

優しいことをしてあげたら、「優しい」という粒子は旅に出て、いつか全く違う形で返ってくるのですが、時間も形も場所も人も思っていたイメージと違うから、いつか自分が蒔いた優しさの粒子のお返しとは気づかないのかもしれない。

だから、悪いことをした人も、巡り巡って絶対その粒子は返っていくのだと思います…そう思いながら、忘年会シーズンの辛い電車ラッシュを耐えしのいでいます。

そんな中、和田ちゃんのドジの場合は、レスポンスが目に見えて、しかもすぐわかるじゃないですか。
ドジによって、粒子になる前に人の素晴らしさや感謝にすぐ触れられる。
それは人生の豊かな財産だと思います。
私なんか、めったにドジしないので、人の素晴らしさや感謝に触れられる機会がめったにありません。ちょっと分けてほしいくらいです。

何を言いたいかというと、和田ちゃんのドジはもう相当なレベルなので、小手先で治るものでもありません。
こうなったら、まずドジありきで、そこから生まれるものを慈しんでいって下さい。

そしてベルの件ですが、和田ちゃんが思ってるほど、ギリギリ間に合っていないことも多々あります。
空間にありがとう…という気持ちはとても素敵です。ただこれからは、もうそのベルが鳴ったらアウトだと思って生きて行ってください。


■ラッキー待ち受け
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若い頃の一時期、ファッション=ベスト(チョッキ)だと思っていた時期がありました。これらのベストたちは、劇団公演の衣装としてもだいぶ活躍し、活躍し過ぎて私の手を離れ、劇団の持ち物になっていったベストたちもあります。
私は素敵なファッションとして捉えていたベストですが、ブスオフたちはベストを忌み嫌います。「どの面下げてベストを着ていた!?」とやり玉に挙げられることもしばしばです。
劇団時代、先輩として大した教育もできないうちに解散させてしまった負い目もありますので、ブスオフたちには気が済むまで私のベストをいじくり倒させてやりたい気持ちです。
ほら、ブスたちの大好物な、ベストだよ。


【筆者プロフィール】
pro_iketani 
池谷のぶえ
いけたにのぶえ94年より04年の解散まで劇団「猫ニャー」の劇団員として活動。解散後は、ケラリーノ・サンドロヴィッチ作品、NODA・MAP、蜷川幸雄演出作品など数多くの舞台に出演。

[出演情報]
【舞台】
こまつ座第125回公演「どうぶつ会議」
(作:井上ひさし、演出:田中麻衣子、音楽:国広和毅)
2019年1月24日(木)~2月3日(日) 新国立劇場 小劇場 THE PIT


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