むしろこっちが人生相談したい気持ち満々のコラム、「池谷のぶえの人生相談の館」です。

絶賛、戦い中です。
もちろん、夏と。

夏以外に、何と戦う必要がありましょう。

朝起きれば暑い、昼外に出れば暑い、夜寝れば暑い…なんですか? この代り映えしない、ただ暑いことだけを押し付けてくる機微のない季節。

朝まで生夏悪口…という番組があるなら、朝まで夏の悪口を言いたいですが、夏のために何で朝まで起きとらんといかんのじゃ! という悪口をまず言いたい。

もうみなさま、おわかりになりましたね。
夏が嫌いです。

とうもろこしは大好きです。
ここが、ジレンマです。

誰のおかげでとうもろこしを食えてると思ってんだ!? あぁん!?
と夏から胸ぐらをつかまれたら、そっと目を閉じて夏にされるがままになるしかない立場ではあります。

いや、そもそも、昔から夏が嫌いかといったら、そんなこともないのです。

若い頃は、花火大会、夏祭り、プール、海水浴、昆虫採集、ラジオ体操、夏の恋…夏休みの行事は人並みに好感を持っていました。

しかし現在、

花火大会…すんごく遠くから偶然見かけるなら可。ただし、涼しいところ。
夏祭り…すんごく空いてる露店だけひやかすなら可。ただし、涼しい夕方以降。
プール…すんごく空いてるプールに、浸かってるだけなら可。
海水浴…少し離れたところから眺めるだけなら可。ただし、涼しいところ。
昆虫採集…不可。季節関係なく、彼らとは一定の距離を保っていきたい。
ラジオ体操…春と秋と冬なら可。
夏の恋…可だけど、気配がない。なんなら、春も秋も冬もない。

こうして、夏の行事を何もかも受け付けない身体になってしまいました。

とにかく、暑いことがすべてを嫌にさせます。
そして、自分が汗っかきであることも大きな原因です。
しかし、30代前半までむしろ汗っかきではなかったのです。
クーラーなんて必要のない身体だったのです。

32~3歳のころからいきなり、夏にドバーッと汗が出る体質になってしまい、それからは夏と共存できないようになりました。

だって、汗って、すごくがんばってるみたいじゃないですか。
私、すごくがんばらない性質なのに、とても不本意なのです。

がんばってる人やアスリートなのに、汗が出にくい人たちに、わけてあげたい、汗…。
輸血のようなシステムにはならないのでしょうか。
いくらでも人助けできるのに…。

おめーの汗なんか誰がほしがんだよ! という世界中からの罵声は、きっと蝉の声ですね…あとひと月ほど、夏と戦っていこうと思います。

さて今回のご相談は、そんな夏に久しぶりにお仕事が一緒だった方からです。

*****

深刻な相談になってしまいますが、何卒宜しくお願いします。

レバ刺し・ユッケが食べたくて仕方ありません。どうすればいいでしょうか?

また、レバ刺し・ユッケを法律で禁ずるこの国に対して、心を冷静に保つことが困難です。なにか良い方法はないものでしょうか?

宜しくお願い致します。

黒田大輔さん(俳優・39歳)

*****

人生相談の館コラムが始まってからというもの、なかなか神経を研ぎ澄ます必要のあるご相談が多かった中、どうしてやることもできない相談をありがとう、黒田くん。

黒田くんと初めて出会ったのはいつだったのかしら…もはや、まったく覚えていません。
何度か共演したり、何度かばったりあったり、その度に特に懐かしい感じも、久しぶりな感じもあまりしない…不思議な存在の黒田くん。

数年前、京都で仕事の時、丁度同じく京都で仕事中だった黒田くんと落ち合いごはんを食べたのですが、私が初めての太秦デビューでド緊張していたら、甥っ子さんか姪っ子さんが黒田くんにくれたという、お守りの缶バッチを貸してくれました。

その缶バッチを、先日ようやく返すことができたので、そのお礼もかねての今回の人生相談ですので、真摯に回答せねばなりません。

1. 魔法を使う
2. タイムマシンに乗る
3. 総理大臣になり国を変える
4. 外国へ行く
5. 疑似食を作る

おおまかに考えて、上記5つに絞られるでしょう。
では、ひとつひとつ、具体的に検証していきましょう。

1. 魔法を使う…使えやしないさ。
2. タイムマシンに乗る…乗れやしないさ。
3. 総理大臣になり国を変える…変えてよ黒田くん。
4. 外国へ行く…韓国とかオーストラリアとかで食べられるらしいわね。とりあえず、これが一番現実的ね。
5. 疑似食を作る…マグロのお刺身とアボカドを細く切って、ごま油、塩、コチュジャン、卵黄、すりおろしニンニク、胡麻、醤油で混ぜるのよ。なんとなくユッケよ。酔っぱらって食べれば、なんならユッケよ。

一度失ったものは、なかなか戻ってはこないわね…そして、二度と会えないかと思うと、無性に会いたくなるものよね…だから、レバ刺しとユッケのことばかり考えてしまう。

レバ刺しとユッケのことは、中学時代と高校時代だと思ったらいいんじゃないかしら。
もしくは、レバ子とユッコという、元カノだと思ったらいいんじゃいかしら。

いずれにしても、黒田くんの人生を通過していった美しい想い出なのよ、レバ刺しとユッケは。

とはいえ、想い出を現実的として向き合うには、

外国へ行くこと。
馬レバーや鶏レバーへの愛情の扉も開くこと。
国を変えるために、選挙に出ること。

この3つね。
応援するわ。特に選挙は。
がんばって! 黒田くん!


ラッキー待ち受け
rebasashi
2012年6月、最後のお別れの記念に撮影したレバ刺しの画像です。
いまだに消せないほど、私も彼らの大ファンでした。
ですので、黒田くんの気持ちはとてもよくわかります。いつか、この画像を缶バッチに加工して、お守りとして渡せる日がくるとよいですね。
それまで、待ち受けにしてください。

■黒田大輔さんの今後の予定
森山直太朗劇場公演「あの城」(作・演出:御徒町凧)

9月14日(木)〜10月1日(日)@本多劇場

http://naotaro.com/anoshiro/

月と雷」(監督:安藤尋)

10月7日(土)テアトル新宿ほか、全国順次公開


【筆者プロフィール】
pro_iketani 

池谷のぶえ
いけたにのぶえ94年より04年の解散まで劇団「猫ニャー」の劇団員として活動。解散後は、ケラリーノ・サンドロヴィッチ作品、NODA・MAP、蜷川幸雄演出作品など数多くの舞台に出演。

[出演情報]
【舞台】 
2017年9月8日(金)~24日(日)  紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA 
こまつ座 第119回公演「円生と志ん生」(作:井上ひさし、演出:鵜山仁)




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